1) ARPS

The Advanced Regional Prediction System ( ARPS )


ARPSは、ストーム規模の大気予測モデル及びシステムであり、リアルタイムデータ解析、同化システム、将来予測モデルと解析パッケージが統合されている。オクラホマ大学のCAPSにて、STCプログラム支援の下に開発された。元々はストーム規模の数値気候予測モデルの原型として提案されたもので、このようなモデルを開発することはCAPSの主要な使命でもあった。ARPS バージョン4.0 は、1995年に初めて公開され、それ以来主要な改良が追加されており、バージョン5から、フォートラン90の様々な機能が使われている。


ARPSモデル・システムの概要

The Center for Analysis and Prediction of Storms(CAPS)では、ストームスケールの数値気候予測モデルの実証がなされており、このセンターで最も成果を上げているシステムが、完全3次元非静力学モデルであるARPSである。
ARPSは完全な数値予測モデル・システムであり、対流と冬季ストームが陽的に表現されている。システムには、データ導入、品質管理、ADASと呼ばれる客観的な解析システム、ARPSDASと呼ばれる単一ドップラーレーダーパラメータ修復同化モデル、予測モデル、ARPSPLTと呼ばれるパッケージが含まれる。ARPSの数値予測部分は、3次元、非静力学、圧縮性流体、一般地形座標モデルであり、さまざまなコンピュータで作動するように作られている。現在のバージョンは総合的な力学モデルで、過去数年のSouthern Great Plains, US上のストームスケール天候の予測に適用されている。

ARPSの特徴および性能

約6年もの開発およびテスト期間を経て、ARPSモデルは現在、他の非静力学モデルのコードと同程度の物理および数値モデルとなっている。しかしながら文書、コード、並列コンピューティング機能中には、多くのユニークな性能が提供され使い易い。現在のシステムの特徴を以下に要約する。

・コンピュータ言語 - フォートラン77 + フォートラン90の拡張
・文書 - ユーザーズガイドを含む
・コード設計 - 一般的なベクトルスカラ機(Cray J90, C90, T90, and workstations and PCs)、並列計算機(T3E, SP2等) 両方に使用可能な組み込み式コードモデルシステムは、読みやすさと維持、修正を容易くするために、工業基準のスタイルにのっとった単一のコーディングスタイル
・コード構造 - ARPSのサブルーチンは機能性によって構築されている。そして、全てのソフトウェアシステムは、コードの型と目的を基礎としたサブディレクトリに分割
・使用について - すべてのソースコードと文書がCAPSサイトを通して入手可能(http://www.caps.ou.edu)、もしくは、ftpサーバー(ftp.caps.ou.edu)。なお、PDF形式のユーザーズガイドを含む
・ユーザーサポート - eメールによるサポート、ユーザー質問およびバグ報告に対する効率的な機構として、数年に渡りそして現在も続いている
・動的フレームワーク - 非静力学、ブシネスクオプション付の圧縮性流体
・座標系 - 一般地形座標、(水平方向に等間隔、垂直方向に変化するアラカワC-グリッド)




ARPSの入手・ダウンロード方法

@こちらのページ(下の画像)New Usersregister here をクリックして、メールアドレス、名前等を登録する。
A登録したメールアドレスを、Registered users の Enter your email address: の後の空欄に入力する。
BThe systems about to run ARPS: とあるが、単なるアンケート調査らしく、使用されるプログラム自体は同じらしい。
C左下(下の画像には入っていない)の I accept the above terms and conditions をチェックする。
Dバージョンを選択して 『Get』 ボタンをクリック。



E下のようなメッセージと共に、ファイルのダウンロードが始まる
Fダウンロードされた圧縮ファイル(*.tar.gz)を解凍コマンド等を用いて解凍する。




ARPSのコンパイル及び使い方

システムには、ARPSモデルのソースコード、データ解析システム(ADAS)、地形の前処理プログラム(ARPSTRNとARPSSFC)、グラフィック処理プログラム(ARPSPLT)、その他の関連するツールが含まれる。
ARPSパッケージ中の全てのプログラムと使用法を知るために、ARPSクイックガイド http://www.caps.ou.edu/ARPS/arpsqg/ がある。ここには、ARPSの使用開始に必要なツールの要約も書かれている。地形データセットと文書は、ftp://caps.ou.edu/ARPS もしくは、http://www.caps.ou.edu/ARPS で見つけられる。注意: ARPS Ver. 5.0 を使用するためには、フォートラン90のコンパイラが必要。フリーフォーマットと動的メモリアロケーションを用いている。

全てのARPSのコンパイリングとリンキング、その他ユーティリティは、UNIXシェルスクリプトから実施される。注意: Cシェル ( csh もしくは tcsh ) が必要である。

UNIX以外を使用している場合には、" syntax error near unexpected token " などのエラーが発生することがある。文字コードもしくは改行コードの問題の場合もあるが、そうでなければLINUX等にcshもしくはtcshがインストールされていないことが問題の場合がある


a. ARPSのコンパイル方法

ARPS Ver. 4.3.0 以降のバージョンのファイル形態は、以前のバージョンからかなり変更されている。ファイル群は、サブディレクトリに格納されており、それ以外の主要ファイルはルートディレクトリに存在する。それぞれのプログラムはサブディレクトリsrcの中にある。

ARPSのルートディレクトリに入る。

% makearps -help
もしくは
% makearps

このスクリプトは、コードがコンパイルされるコンピュータの型を選ぶことになる。主要な違いは使われるコンパイラであり、その実行形式ファイルは、サブディレクトリbin内に作られる。

プロジェクト毎にmkarpsスクリプトを実行して、新たな作業ディレクトリを作ることを薦める。オプションには"all"を選択すると、ほとんどのファイル(特にインプットファイルなど)は作業ディレクトリ内に作成される。ほとんどの作業は、この中で実施することになる。ルートディレクトリからのコマンドは、

% scripts/mkarpswd

b. ARPSの実行方法

 b.1 ARPSの即座の実行方法

理想化された条件でARPSが実行される場合、現地の地形データや3次元解析データは必要ないことが多い。このような場合には、かなり少ないステップで実施することができる。以下にそれを示す。
例として、May 20, 1977 オクラホマの竜巻の3次元シミュレーションを実施する。ARPS 4.0 ユーザーズガイド 13.6章にある、UNIX vi エディタが用いられる。#の後はコメントとする。

% cd ARPS_root_directory # ARPSルートディレクトリに移動

% makearps arps
 # ARPSの実行形式ファイルをコンパイルしてbinの中に作成 (実施直後の画面は下)

( % makearps arps 直後の端末画面の例、ただし ver. 4.5.2 )


% mkdir may20 # may20という作業ディレクトリを作成

% cd may20 # may20に移動
% cp ../sounding/may20.snd # soundingファイルのコピー
-> % cp ../sounding/may20.snd . # soundingファイルのコピー

% vi may20.snd # 必要ならば、soundingファイルの準備

% cp ../input/arps.input may20.input # 標準のARPSインプットファイルのコピー

% vi may20.input # インプットファイルの準備、実行名"may20"

% ../bin/arps < may20.input >! may20.output
 # モデルの実行

% ls -l may20.* # 出力ファイルのリスト

% cp ../input/arpsplt.input . # arpsplt.inputのコピー

% vi arpsplt.input # プロットコントロールファイルの準備

% cd .. # ルートディレクトリへ移動

% makearps arpspltpost # ARPSPLT with ZXPLOTのコンパイルとリンク
 # ZXPLOT version 3 以降がインストールされているという前提
 # NCAR graphicsが入っている場合、'makearps arpspltncar' で作成できる
 # postscript outputの代わりにNCAR graphicsが使用できる

% cd may20 # 作業ディレクトリに戻る

% ../bin/arpspltpost < arpsplt.input
 # ARPSPLT プログラムを実行
 # postscript (PS) graphics 出力

% ls -l *.ps # ARPSPLTにより、PSファイルが出来る
% ghostview may20.ps # ghostviewを用いてPS出力ファイルが見れる
 # Ghostview は GNU PS viewer

% lpr may20.ps # Postscript printerにPSファイルを送る




 b.2 ARPSの完全な実行方法

実際の地形データ、関連する特徴データ、3次元初期データを用いた、完全にARPSを実行するためのステップ。

 ・地形データの準備

ARPSTRNと呼ばれる、全体で5分、30秒、3秒のデータがサポートされる。5分のデータは、tbase_global_5min.data.gz であり、ftp://caps.ou.edu/pub/ARPS/ARPS.data/arpstern.data から入手。30秒と3秒のデータは、CAPS ftp サーバーから自動的にダウンロード。input/arpstrn.input のインストラクション参照のこと。手順としては以下。

% cd ARPS_root_directory # ARPSルートディレクトリーへ移動
% makearps -zxpost arpstrn # プログラムARPSTRNのコンパイルとリンク
 # ZXPLOTがインストールされていることが前提
 # もしインストールされていない場合は、-zxpost オプションを省略、グラフィクなし
% cd myrun1
% cp ../input/arpstrn.input . # arpstern.input を現在の作業ディレクトリーにコピー

% vi arpstrn.input # モデルグリッドのパラメータのセット
 # 配置や地形データ解析
% ../bin/arpstrn < arpstrn.input >! arpstrn.output
 # ARPSTRNプログラムの実行
% ghostview zxout.ps # 地形領域のグラフィックビュー
地形ファイル、実行名.arpstrn が作られている必要あり

 ・表面データの準備

表面データの準備として、データベースが適切にセットアップされていることが前提。

% cd ARPS_root_directory # ARPSルートディレクトリに移動
% makearps -ncarg arpssfc # プログラムARPSSFCのコンパイルとリンク
% cd myrun1 # 作業ディレクトリに移動
% cp ../input/arps.input myrun1.input
 # myrun1 用の標準 ARPS input ファイルをコピー
% vi myrun1.input # グリッド配置パラメーターをセット
% ../bin/arpssfc < myrun1.input >! arpssfc.output
 # プログラムARSSSFCを実行
% ls -l myrun1.sfcdata # 作成されたアウトプットファイルをチェック

 ・初期及び境界条件のセット

3次元の初期及び境界条件を、他のモデルから作成する。より大きな領域でのシミュレーションなど。通常はARPSの解析パッケージであるADASは、他の大きなスケールモデルからのバックグラウンドが必要となる。
プログラムext2arpsは、NCEP/NOAA/USAなどの多くのNWPモデルのグリッドデータを書き換える。追加グリッドデータに関することは、src/ext2arps/rdextfile.f90のサブルーチンを変更すれば可能である。ARPS 4.0 ユーザーズガイド8.5章を参照。

% cd ARPS_root_directory # ARPSルートディレクトリに移動
% makearps ext2arps # プログラムEXT2ARPSのコンパイルとリンク
% cd myrun1 # 作業ディレクトリに移動
% cp myrun1.input myrun1-ext.input # ext2arps用のインプットファイルのコピー
% vi myrun1-ext.input # EXT2ARPS用のコントロールパラメータ、データ、ファイル名のセット
 # 実行名myrun1をmyrun1-extのように変更しておく。
% ../bin/ext2arps < myrun1-ext.input >! ext2arps.output
 # プログラムEXT2ARPSの実行
% ls -l myrun1_ext.* # 出力ファイルの確認、確認用にARPSPLTが使える。

 ・観測データと領域データを用いて、データ解析プログラムADASの実行

% cd ARPS_root_directory # ARPSルートディレクトリに移動
% makearps adas # ADASのコンパイルとリンク
% cd myrun1
% cp myrun1.input myrun1-adas.input
 # arps.inputのコピー
% vi myrun1-adas.input # ADAS用のパラメータセット、後半はEXT2ARPSのため
 # 実行名 myrun1-adas
% ../bin/adas < myrun1-adas.input >! myrun1-adas.output
 # プログラムADASの実行
% ls -l myrun1-adas.* # 出力ファイルの確認、確認用にARPSPLTが使える

 ・ARPSの実行

% cd ARPS_root_directory # ARPSルートディレクトリに移動
% makearps arps # ARPSメインプログラムのコンパイルとリンク
% cd myrun1
% vi myrun1.input # コントロールパラメータのセット、特に IC と BC ファイル名
% ../bin/arps < myrun1.input >! myrun1.output
 # ARPSの実行
% ls -l myrun1.* # ARPS出力ファイルのリスト、プロットにARPSPLTを使用

c. 出力

ARPSモデルは、ヒストリーデータの出力フォーマットに幾つかのオプションがある。ヒストリーデータは、出力データや解析後に必要なデータなどで、さらにされらのフォーマットは次の初期条件にできる。出力データのディレクトリは入力ディレクトリに指定される。

主な出力データは以下である。

arps.output - 標準出力データ、領域データ、実行時間情報、不適切なパラメータの警告、job中止情報などがこのファイルの中に書かれる。job実行中もしくは後には、このファイルを調べることを勧める
myrun1.log - NAMELIST中のインプットパラメータの全ての記録、runname='myrun1'と仮定
myrun1.maxmin - arps.input中のさまざまなフィールドの最大・最小値、 プログラムARPSPLTMAXを用いたプロットに必要
myrun1.rstnnnnnn - バイナリデータファイルセット、nnnnnnはモデル時間
myrun1.fmtgrdbas - ヒストリーデータ
myrun1.fmtnnnnnn - ヒストリーデータセット

*注意: 使用しているコンピュータ、OS、コンパイラ、計算プログラムのバージョン等により、以上の説明がすべてのケースに適用できるわけではないことを、ご了承下さい。


> ARPS公式サイト

ホームに戻る